コラム

バジルへのこだわり

20年程前イタリアのジェノバにバジルを見に出かけた時のお話をさせていただきます。丁度ジェノバでイタリアサミットが開催されておりました。ジェノバは日本で言えば神戸の様な地形の場所で農作物を栽培する様な農地はどこにも見あたりませんでしたが、海沿いの堤防沿いを通って細い路地を20Mほど入ったところに3件のバジル農家がありました。

その場所はなんと高速道路下に建てられた施設でした。施設と言っても屋根型の硬質ビニールハウスで小屋根が沢山あるものでした。10a程の畑は2.5mほどのコンクリートで仕切られた枠が沢山ありその中にバジルが生育ステージごとに栽培されていました。収穫中のところを見せていただきましたが、どこを収穫したのかわからないくらいでした。密植されており収穫物も日本の様に葉先を収穫してパックに詰めるのではなく株ごと小さい時に収穫して100g程度で結束していました。日本とずいぶん違う収穫状態に唖然としました。なんでそんなに小さい時に収穫するのか尋ねてみるとジェノベーゼにはこれが一番なんだと言われました。バジルと言ってもジェノベーゼ専門の農家だったようです。しかし、食べてみると納得の味でした。

マルシェには大きくした株の販売もしているが、一流レストランでは洗練されたピュアな味でなければダメなんだと言われました。味を確かめてみると日本とずいぶん違う味覚でした。えぐみが殆ど無くバジルの爽やかな香りが口いっぱいに広がって何とも言えない心地よさを感じました。その時この様なバジルを皆さんに知ってもらわなくてはと思いました。

その後家族を紹介してくださり仲良くなったところで近所のジェノベーゼの加工場にも連れて行ってくれましたが、工場というより店先にバジルを細かくカットする特殊なミキサーが置いてあるだけでしたが香りを逃がさず旨みを閉じ込める工夫がなされていました。さすがにバジルの先進国イタリアの底力を見ることが出来ました。この見学をきっかけにバジルだけでなくイタリア人は全ての物に一流を求めている心意気を感じました。私も本質を見抜き育て上げていくことが重要であることを再認識させられた研修になりました。

帰国後研修したバジル栽培を実践して販売してみましたが価格が割高となるので受け入れてくださるシェフが少ないのが残念です。このブログを見て本質を生かしてくださるシェフが出来ることを願っています。

バジルが収穫できる頃になりましたらリストに入れますので宜しくお願いします。お待ちしています。

暇があればパルミジャーノレジアーノに見学に行ったお話もブログしたいです。

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